10月に入り、僕はある決心をする。

いつもの小さな橋の上で、唯と待ち合わせをした。

荷台に唯が腰掛けるのを確認して、僕は前を向いて言う。

「今日、うち来ない?誰もいないんだ」

唯は僕の意図を読み取ったのだろう、僕の肩を掴む手がギュッと固くなった。

「…そうなんだ」

産まれてきてから一番気まずい沈黙だった。ちょっと焦り過ぎたかな、と僕は心の中で呟く。

「…うん。行きたい」

唯の言葉を聞き、僕は自転車を走らせた。わざと遠回りして自分の家へ向かう。