次の日、あたしは中村の授業中に手を挙げた。 「中村先生。ここちょっと解んないんですけど…」 「ん?」 あたしはノートのすみに、 綺羅に手を出すな ってかいた。 「どこですか?」 「ここなんですけど…」 ノートに書かれた文字をみた中村は、顔色一つ変えず、ノートに書き足した。 放課後、職員室 見事な演技力。 クラスの生徒はみんな騙されただろう。 ただの普通の先生と生徒の会話だとしか想ってない。 「麻那が数学解んないなんて、珍しいね。」 「ちょっとね。」 綺羅は珍しそうにあたしを見てた。