あいつはついに私の前に現れた。 「久しぶり、綺羅」 スーツ姿で玄関の前に立っている。 「あなたには用がないです。帰ってください」 家に入ってしまえば逃げられるのに、玄関の前に立っているので逃げられない。 「ちょっと話しようよ」 「話す事なんてなにもない」 ぴしゃりと言うと今度はジッと私を見つめてきた。 と、鳥肌… あいつが口を開く、私は刺されたような衝撃を受けた。 「永浜悠の事、好きになれないくせに。俺は知ってるよ、なんでも」