やっと着いた警察署。

そこで長い尋問が始まった。
警察は協力的であって、
そうでなかった。

相手が病人である以上、
無下に手を出せない。


「どうすれば、
逮捕できますか!」

「医師の証人と、
退院すれば、
病院を一歩出れば、
そこで確保できます。」

「全部必要なものは揃えます。
捕まえてください。」


俺はいら立ってた。
部長の言い草。
仮にも最高責任者の言い草か?


まるで職員を卑下するような言い草。


「警察も、
人手がないので、
貴方、
病院との連絡係してもらえますか。」

俺はそれから、
先生と連絡をとったり、
必要な書類をそろえたり、
大変だった。

でも、
後から聞けば、
みんな協力してくれて、
先生は必要なことを警察に説明してくれ、
退院に向けて処方箋を書いたり、
その男の素行の悪さを証明してくれ、
看護助手は、
夜勤の前だと言うのに、
警察署にその男にセクハラされたことを、
証明しに来てくれた。

俺も昨日の昼間から、
不眠不休。

そんなさなかだった。


「今、田沢先生と言う方から、
電話が入りまして、
容疑者が転院したとのことですが、
どういうことですか!!」

「は?
家にはそんな名前の医者はいません!
ソレは部長、
理事代理です!!」

「転院してしまうと、
逮捕は難しくなります。
別の病院にまた同じ要請をしなくては。」


つまりは、
この1日の事が無駄になった。

俺のイライラはピークだった。