そういえば、
俺はこの頃、
仕事でリーダーを取り始めていた。
今までは、
褥創の処置をしたり、
薬を配ったり、
点滴をしたり、
フリーの仕事をしていた。
今度は、
患者を受け持って看る、
リーダーをやってた。
そうなると先生との絡みも出てきた。
今まで先生なんて、
注意して見た事無かったから、
先生の名前なんか、
吉川先生くらいしか知らなかった。
よく見りゃ、
先生っていっぱいいた。
だが、
どの先生が何を先行してみてるなんて知りやしない。
おまけに、
医者なんて言う生き物は、
怖いって言うのが定石だ。
俺は、
行くのが億劫になっていた。
先生と絡んでみれば、
なんてことない。
怖い先生はいなかった。
顔は別として。
こうして、
慌ただしく、
年の瀬を迎えて行った。
この年の瀬。
俺にとって、
考えがたい。
二度と思いだしたくない。
そんな経験をしたのは、
未だに覚えてる。

