――俺は…俺はあいつを助けたい。
ただ一人全てを背負って自分の中にしまいこんでるその気持ちを,少しでも吐き出してほしい…
ただ…ただ笑っている時間が少しでも多くあれば,そう思ってる――
ディアスの言葉を思い出し,シーラはふっと微笑んだ。
「なぜ殺さなかった」
「…ベルゼー…」
シーラの表情を見て,ベルゼーはシーラが侵入者を殺していないと悟った。
しかし,それにも関わらずシーラの顔は妙にすがすがしかった。
「見てみたくなったのです。」
シーラは組織の人間に彼らを逃がすよう指示をした。
「見てみたくなったのです。闇から抜け出して,光の世界で生きていけるのかどうか…」
そんなシーラの表情をベルゼーは無言で見つめた。
副隊長として,隊長の命令は絶対。
ベルゼーは慌てて口からこぼれそうになる言葉を飲み込んだのだった。


