話しかけてきたのは一人の兵士だった。
「あの…ぜひお話しておきたい事があるのですか…」
ディアスは今一人の兵士の言葉に耳を傾ける気になれず,後にしてくれと断った。
すると,今までおどおどしていた兵士がいきなり大声で言った。
「レイ様についての事なんですッ!!レイ様は裏切り者なんかではないッ!!」
「なんだと…?」
ディアスは思いがけない兵士の言葉に眉をひそめた。
「詳しく聞かせてもらおうか」
――――
兵士―ロージはその日牢の見張りの登板だった。
だか,朝から体調が悪く後輩に少しだけ頼み仮眠をとって牢の入り口へ戻るとすでに見張りの兵士はやられていたのだ。
ロージが剣を構え中へ入ると話し声が聞こえてきたのだ。
顔は見ていないが会話の内容からレイと他の誰か,それも女性だという事はわかったらしい。
――――
「それで,なぜ裏切り者ではないと言えるんだ?」


