「…ちょっと疲れてるだけだよ。今日はもう帰ろうか」



拾った剣を鞘にしまいながらレイは帰り支度を始めた。



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あの日以来自分は変だ。


気がつくとあの人の事を考えてしまう…



『彼女…ディアスの恋人だったの』



リリーナの言葉が頭の中をぐるぐる回る。



この気持ちは…なに…



自分の中に明らかに今まではなかった新しい気持ちが芽生えていることに,レイは戸惑っていた。



―――――――


そんな事を考えながら,気がつくともう城の前に来ていた。



「今日はゆっくり休めよ。お前が本気じゃねぇと俺の練習になんねぇからなッ」



くしゃっとレイの頭をなでると,ロイは後ろ手にヒラヒラと手を振りながら自分の部屋に帰って行った。



「…しっかりしなきゃ」



自分の部屋に帰ろうとレイがくるりと体の向きをかえると,向こうからティファが歩いてくるのが見えた。