その時,



「目は覚ましたか?」



ディアスが部屋へ入ってくる。



「ええ。大丈夫みたい。回復魔法がきいたわ」



リリーナが微笑みながら答える。



「私何か食べ物をもらってくるわ」



そう言うとリリーナは長い髪をなびかせ部屋を出た。



「怪我の具合はどうだ?」

「もう…大丈夫。いろいろ迷惑をかけたみたいで…」



ディアスと話ながらレイはあの夜の事を思い出していた。



なぜ自分があんな事をしたのか,今考えてもわからない。



でも,ひとつだけわかっている事は自分の居場所はもうどこにもないということだ。



思わず,シーツををギュッと握りしめる。



そんな様子をじっと見ていたディアスがレイに話しかけた。