「怪我はない?」



水色の長い髪をなびかせた美しい女性がディアスに近づく。



「ああ…」



剣をしまいながらディアスは答えた。



「そっちは平気か、リリーナ」



リリーナと呼ばれたその女性は長い髪なびかせながら辺りの様子を見渡した。



窓が割れたものの幸い怪我人はいないようだ。



「こっちは平気みたい。それにしてもさっきのはなんだったのかしら…」

「おそらくダークネスだ。間違いなく国王を狙っていたからな。だが…」



ディアスは剣を交えた時の感覚を思い出していた。顔は見えなかったが、自分よりも大分小さな背たけ、そして…



「甘い香りがした…」



まるで香水のような香り。



「女の…殺し屋か」



これがレイとディアスの出会いだった。



―――真っ暗な闇から私を導いてくれた光。



―――私にとってあなたはまぶしいほど大きな光だった。