終章
 ~DIAMOND RAIN~
 第三節
  ~果てしなき、
     流れのはてに~


―― 衝突!! そして… ――
 
   ……………
    ………
     …

  × × ×
 
 ユイが目覚めると、そこは宇宙でした。彼女が目覚めた数秒の間にもう、宇宙は驚くべき速さで拡がってゆき、少女を慰めるべき彩り豊かな幾億の星は流れ去って、彼女をまるきり独りきりにしてしまいました。

 「……待って…」
 ユイは重たい手を伸ばして、星々に言うのです。
 「独りにしないで」
 喉にはきつく首輪を嵌められているかのように、大声をだそうにも喉は擦れた煙の声しか搾り出せません。

 伸ばした腕は重く、開いた指は重く、横たわる自分の体さえ重く、全身の肉は辛うじて骨にへばり付いているように感じました。

 肋骨は重く、横隔膜は怠惰で、呼吸するのも億劫でした。

 「待ってよ……」
 
 その間にも、星は、光の速ささえ超えて、彼女から去っていくのです。