美少女戦士 イグニス・ドラグーン・ユイ!

 父親は慄きました。

 …いえ『竜』が見えたのではありません。

 額から血を流している少女が、今まで見せた事の無い眼力で凝視していたからです。


 少女はゆっくりと立ち上がりました。


 先週蹴り上げられて折られた肋骨はまだ痛んでいましたが、ゆっくりとした所作は、それが理由ではありません。


 世界を辞す決意を持った者だけが纏う、狂気なる泰然かもしれません。


 「…どうでもいい……」
 と、少女は言いました。

 こんな世界、どうでもいい、と。 


 【世界を呪う権利がある】
 と、耳に囁かれた言葉だけが、この冷え切った世界にあって少女を暖める唯一の『正義』にすり替わっていたのでした。


 【怒れ、世界を…!】

――怒れ、世界を――!!


 それは…
 少女に与えられた、初めての“赦し”…!!