美少女戦士 イグニス・ドラグーン・ユイ!

 「あの男を殺そうとしたのよ!! 悪い!?」

 どこからそんな声が出るのか、美奈子のその絶叫は『雷竜もどき』達をも慄かせました。
 

 その叫びは1キロも離れた、裕にさえ届いたのです。

 「美奈子!?」
 その叫びは彼女の心の決壊であると同時に、思念として救援の信号でもあったのでしょう。
 「まずいぞ、俺が行ってやらないと…!」


 「南は何を話してるんだ!?」
 とQへと言った課長は、読唇の技能を修得していない自分を恨みました。


 「わからないの!?」
 Qは罵倒します。この状況下で、上司もへったくれもありません。
 「南は美奈子を懐柔しようとしてんのよ!」
 

 「嘘だろ? 南め! 勝利は確実なのに…」

 
 ―― 勝利? いえ。

 「違うわ。この『メルト・ダウン』そのものが、彼にとっては救済のつもりだから…」
 と、麻衣は首を振りました。
 「邪魔者の美奈子さんもユイも、“助ける”つもりなのよ」
 
 
 そうした会話の間に、当事者の美奈子はもう、力なく泣き崩れていました。

 その美奈子へと、やはり麻衣の予測どおりの言葉を、少年は与えてやるのでした。

 「悪くなんかないよ」

 竜一は糾弾から一転、蜜ほど甘い声色で撫で言います。

 「分かるよ、怖かったんだよね」