美少女戦士 イグニス・ドラグーン・ユイ!

 (いけない!)
 しかし、美奈子は声が出ませんでした…!



 「…え? なんで…!?」

 ユイの瞳孔が拡大します。
 自分の運命を見据え、泰然不動だったユイの瞳は、弱々しく激しい震えを示しました。
 二人は見つめあい、刹那の静止を演じてしまいました。


 「先輩……」
 ユイは意識の外でそう呟きました。
 やはり女とは……
 やはり、どこまでいっても戦士ではなかったのです…!
 

 竜一はユイよりも早く我にかえると、
 「それはいけない…ユイちゃん」
 と、ユイの肩を掴みました。彼は、ドレスの上からでも、少女の鎖骨を感じました。
それがあまりにか細く、ちょっと力を込めれば折れてしまいそうだ……と竜一は感じました。
 もっとも、少年が少女の肩に触れたのは、“単純で瑞々しい衝動”ではありませんでした…
それは同時に『雷竜』の、『炎竜』の肩への噛み付きでもあったのです…!

 「や、やめてぇ!」
 と、美奈子は竜一のしようとする事を察知し、叫びます。


 その最初で最後の二人の肌の触れ合いが、温もりを伝え合う事は、ついになかったのでした…。

 伝えたのは……
 流されたのは……電流