美少女戦士 イグニス・ドラグーン・ユイ!

 「うん。でも、違うよ。美幸…」

――なんで!? ユイ!


 「確かに誰かが美奈子さんを痛がらせてる…。痛い。苦しい。死んじゃう…」

――だったら、わかるでしょ。ユイ!


 「けど、敵は? とても凶暴だけど何かに怯えてる…」

――ッ!!?



 ユイの… 少女の正義はどこからやってくるのでしょう?
 ユイは今、何の理由も、もちろん義務感などもなく、ただ――
 「助けを求めてるんだ。 助けなきゃ!」
 と直感していました。
 そしてそれは“敵”にも向けられていたのです。
 
 「ハァハァ…。 分かる? 美幸。敵もだよ!?」
  階段を駆け下り、ユイは病院の外に出ました。

 私に何が出来るだろう?
 でもたぶん、“あの子”が助けてくれるはずだ。
 
 ユイは、ともかく渋谷まで行こうと決めていました。
 と、しかし。外へ駆け出た瞬間、ユイの後ろを誰かが押さえ付けたのでした。
 

 「やめて! 誰なのアナタ!?」
 ユイを押さえつけたのは監視を任されたQでした。そして…
 
 「行ってはダメ! 戻れなくなっちゃう」
 と言ったのは、なんと母親の麻衣だったのです。


 「ママ!? なんでここに――いえ!
 「なにを言ってるの? 人が苦しんでるんだよ!? 私、行かなきゃ!」

 
 ユイは腕を振り払おうと暴れます。
 「行かなきゃ! 離して!」

 
 「駄目! 自惚れないで、アナタの力なんかじゃ…!」
 Qはユイを羽交い絞めにし続けます。

 「力!? やっぱり私に有るんでしょ!? だったら!」

 
 「かなう相手じゃないの!」

 
 「知らないよ! ともかく何もしないなんて出来ない!」