「…違う、生まれた事に意味があるハズだ。意味が欲しい。だが…僕には意味がない。
生まれたのは偶然だったんだ。人間はランダムだ。ランダム。 アンモニア臭のする場外馬券場が子宮で、汗臭いオヤジ共が精子で、馬券が命だ。
おんなじランダムだろ、所詮…」
真っ暗な店内にあって、キラリ放射状に竜一の眼が光臨を放ちます。
「だからいつ消えてもいいと思ってたし、思ってる…。
『つまり“君達”に出会った事は俺の唯一の悔いになるんだろうな…』
でもさ、悔いるって、悔いられるって幸せな事なんだよ…。分かるか? 俺にはそれで十分だ」
竜一は立ち上がり人々の間を縫って外へ出て行きます。
(本当にそうなの? もう止められないの?)
……
……いえ!
去りゆく竜一の背中に
「ユイちゃんに言ったあの台詞!」
と、美奈子は叫びました。
――それは
彼が自分から言った本当の気持ち。
彼の中に残る最後のSOS
生まれたのは偶然だったんだ。人間はランダムだ。ランダム。 アンモニア臭のする場外馬券場が子宮で、汗臭いオヤジ共が精子で、馬券が命だ。
おんなじランダムだろ、所詮…」
真っ暗な店内にあって、キラリ放射状に竜一の眼が光臨を放ちます。
「だからいつ消えてもいいと思ってたし、思ってる…。
『つまり“君達”に出会った事は俺の唯一の悔いになるんだろうな…』
でもさ、悔いるって、悔いられるって幸せな事なんだよ…。分かるか? 俺にはそれで十分だ」
竜一は立ち上がり人々の間を縫って外へ出て行きます。
(本当にそうなの? もう止められないの?)
……
……いえ!
去りゆく竜一の背中に
「ユイちゃんに言ったあの台詞!」
と、美奈子は叫びました。
――それは
彼が自分から言った本当の気持ち。
彼の中に残る最後のSOS


