「…病院、抜け出しちゃった」
美奈子は言うべき事が見つからず、ともかく笑ってみました。
「身体は大丈夫なんですか?」
助手席に座る竜一は入院着の美奈子を、足先から一瞥します。
「え?ええ。平気。まだ頭痛が酷いけれど…」
信号待ちで停車した美奈子が竜一の方へ視線を移すと、彼が熱心に自分の方を見ている事に気付き、思わず頬を染めました。
そういう相手ではないのですが、しかしです。
「な、なぁに?」
竜一は美奈子を見つめたまま、何故そう分かったのか、「……青」と言いました。
信号を見逃して、パッシングを受け、慌てて美奈子は車を発進させます。
「…アナタが悪い人には見えない」
竜一は溜め息混じりに、そう言いました。
「え? 私、悪い人なの?」 美奈子は思わず噴出しました。そしてそこまでしてから、少しだけいつもと違う自分を演じている事に気付きました。
どこかで見た事のある偶像を演じて、彼との間にバリアを張っているんだ、と。
(これでは、トレンディードラマの“お姉さんキャラ”じゃない……)
美奈子は言うべき事が見つからず、ともかく笑ってみました。
「身体は大丈夫なんですか?」
助手席に座る竜一は入院着の美奈子を、足先から一瞥します。
「え?ええ。平気。まだ頭痛が酷いけれど…」
信号待ちで停車した美奈子が竜一の方へ視線を移すと、彼が熱心に自分の方を見ている事に気付き、思わず頬を染めました。
そういう相手ではないのですが、しかしです。
「な、なぁに?」
竜一は美奈子を見つめたまま、何故そう分かったのか、「……青」と言いました。
信号を見逃して、パッシングを受け、慌てて美奈子は車を発進させます。
「…アナタが悪い人には見えない」
竜一は溜め息混じりに、そう言いました。
「え? 私、悪い人なの?」 美奈子は思わず噴出しました。そしてそこまでしてから、少しだけいつもと違う自分を演じている事に気付きました。
どこかで見た事のある偶像を演じて、彼との間にバリアを張っているんだ、と。
(これでは、トレンディードラマの“お姉さんキャラ”じゃない……)


