美少女戦士 イグニス・ドラグーン・ユイ!

 一方で、館内では激しい火花、というか光の乱舞が続いていました!

 何故、『13ジェムズ』無しに、少女がここまで闘えるのか。
 そう考えると、美奈子は呆気に取られるほかありません。

 彼女は呆然と、その『光竜』と『炎竜』の“押し合い”を見詰めていましたが…
 【援護するぞ!】
 という『闇竜』の言葉に、ようやく正気を取り戻します。
 
 
 「…え? あ! うん!」

 「よぅし! 『アーミー・オブ・ザ・ハデス』!」
  美奈子がそう叫びつつ地面に拳固を加えると、闇の魔物達が現れました!
 
 「行け! ユイちゃんを守って!」
 

 魔物達は見た目こそ魔物ですが、その忠義と勇敢さは騎士そのものでした。
 彼等は自らを犠牲にするのを厭わず、光線に晒されるユイの負担を少しでも減らすべく、彼女の防壁になっては次々に死んでいくのです。(というか、初めから死んでいますが)

 
 「ありがとう!」
 ユイは微笑みました。
 そして彼女は魔物達の助けを借りつつ、まるで体の芯、脳の奥までを焼かれてしまうような眩しさを持つ光線の中を、ズンズンと進んで行ったのです!
 
 意識が飛びそうでした。

 全身に細い針を指されているような激痛が走ります。

 しかしそれでもユイは歩みを止めません。しかも微笑みも絶やしません。

 
 ………

 ユイがそのとき、何を思っていたのかは、分かりません。

 ただユイは心の何処かで、虐待を受けていた頃の記憶を呼び覚ましていたのでしょう。
 だからこそ彼女は、同じく虐待されていた達也が最も必要とする、“エール”を言ってやる事が出来たのです。

 人が人として生きていけるための、“エール”。
 
 それは…… 
 「大丈夫…! “あなたはまだ、人を愛せる”!」
 

 『大丈夫。 あなたはまだ、人を愛せる』