美少女戦士 イグニス・ドラグーン・ユイ！

　「…いつか、こうなる事は覚悟していたのに…」
　Lが去って一人になってしまうと、部屋は妙に広々とそしてヒンヤリとしたものになってしまいました。

　麻衣はまだ娘の温もりを残すベッドに突っ伏せました。見舞いのドーナツの箱は、必要以上に大きな音を立てて床に落ちました。

　「普通の娘でよかった…。そんな力……。いえ…！」

　『普通の娘でよかった、そんな力なんかいらない。勉強なんか出来なくていい、ただ健やかに成長してくれれば…』

　麻衣は誰もがその状況なら思うだろう事を喉の奥で呟きました。

　

　……しかし次の瞬間、彼女は、逆に、こう思ったのでした。

　『いえ…もしかしたら……。もしかしたらあの子は、あの力を正しい事に使えるのかもしれない』
　と、彼女は信じようと思ったのです。
　
　それは強い信念として麻衣の体を温めるのでした。