――――
――…
Lは途切れたトランシーバーを、思わず病室のベッドに投げつけました。
(くそ…!!)
ベッドの名札には『藤間ユイ』の文字がありますが、その上には虚空を思わせる白いシーツしかありません。蛻の殻です。
と、何をすべきか途方にくれるLの後でドアが開かれました。
「きゃ! あ、あなたは?」
麻衣は一人用の病室に見ず知らずの男がいた事に、女性ならば誰でもがそうしてしまうだろう、小さな悲鳴を上げます。
一方でLは咄嗟に思慮を巡らせて……
「あれ? すみません。“田中さん”の病室はここでは…」
と一瞬に笑顔を作りました。
さらにベッドの名札に顔を近づけて、
「あ…『藤間ユイ』さん…ですか。すみません、間違えたようです」
と言ってみせました。なかなかの名演技です。
この状況での切り抜け方では、最善の方法だった事でしょう。
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Lは途切れたトランシーバーを、思わず病室のベッドに投げつけました。
(くそ…!!)
ベッドの名札には『藤間ユイ』の文字がありますが、その上には虚空を思わせる白いシーツしかありません。蛻の殻です。
と、何をすべきか途方にくれるLの後でドアが開かれました。
「きゃ! あ、あなたは?」
麻衣は一人用の病室に見ず知らずの男がいた事に、女性ならば誰でもがそうしてしまうだろう、小さな悲鳴を上げます。
一方でLは咄嗟に思慮を巡らせて……
「あれ? すみません。“田中さん”の病室はここでは…」
と一瞬に笑顔を作りました。
さらにベッドの名札に顔を近づけて、
「あ…『藤間ユイ』さん…ですか。すみません、間違えたようです」
と言ってみせました。なかなかの名演技です。
この状況での切り抜け方では、最善の方法だった事でしょう。


