美少女戦士 イグニス・ドラグーン・ユイ!

 「先輩、申し訳あ――」
 しかし吉報を告げるはずのそれは、謝罪から始まりました。
 しかもLの声はいつものなまくらな、覇気のない口調からは想像もつかない緊迫を持っていたのです。
 

 「よく聞えない。どうしたんだ?」
 

 「はい。すこ――、ユ―ちゃんがいなく――」
 トランシーバーは何かの干渉をうけ、酷く通信状態を害していました。
 

 「ねぇ、なんかこれ、調子悪いよ」
 裕は指揮車内のKに言います。
 

 「えぇ?あり得ませんよ。だって、専用の周波数を使ってるんですから」
 Kは続けます。
 「電磁場の乱れっていうなら、核爆発とか、直上に“雷雲”が迫ったりしない以上は…」
 
 
――!!

 「それよ!」
 Qは空を見上げ言います。
 「“ヤツ”も来てるのよ!」

 Qの台詞について初めは意味を掴めなかった裕とKですが、突然に辺りが暗くなった事は彼等に事態を飲み込みませました。

 煌々と輝いていた太った月を突然に現れた厚い“雷雲”が喰らったのです…!