「放って置けば良い所を敢えて、危険を冒して説得に向かえ、というのだ。
それは君の善意に委ねるしかない。損得勘定ではなくて…」
と裕が言うと、
「だから私は、なるべくなら美奈子さんが自発的に可哀相な竜の存在に気付き、『助けたい』と申し出てくれないかと考えて、回りぐどい言い様になってしまったんです。ごめんなさい」
と美幸さんが続けました。
「…なるほど。
だから私が『何も感じない』と頷いたとき、ひどく動揺してしまったというわけね」
「はい。『誰かの痛みを想像できない』、そんな人間なのかな、と…」
「…絶対に違う…ってワケではないのよ」
そう言いながら、美奈子は髪を結い上げてポニーテールを作ります。
「でも逆に、『そう』ってワケでもないハズです…!」
「そうね…」
美奈子は長い溜め息の間に、美幸さんの中から過去の仲間の姿を認めます。
(あぁ。あの頃、“亜美”は、こういう気持ちで闘っていたんだな…)
美奈子は6年の歳月を経て初めて、共に戦った友の心に触れたように思えました。
それは君の善意に委ねるしかない。損得勘定ではなくて…」
と裕が言うと、
「だから私は、なるべくなら美奈子さんが自発的に可哀相な竜の存在に気付き、『助けたい』と申し出てくれないかと考えて、回りぐどい言い様になってしまったんです。ごめんなさい」
と美幸さんが続けました。
「…なるほど。
だから私が『何も感じない』と頷いたとき、ひどく動揺してしまったというわけね」
「はい。『誰かの痛みを想像できない』、そんな人間なのかな、と…」
「…絶対に違う…ってワケではないのよ」
そう言いながら、美奈子は髪を結い上げてポニーテールを作ります。
「でも逆に、『そう』ってワケでもないハズです…!」
「そうね…」
美奈子は長い溜め息の間に、美幸さんの中から過去の仲間の姿を認めます。
(あぁ。あの頃、“亜美”は、こういう気持ちで闘っていたんだな…)
美奈子は6年の歳月を経て初めて、共に戦った友の心に触れたように思えました。


