「…分かってはいたの」
美奈子は裕を正視して言いました。
この耳飾りが出てくるということはつまり……
『闘え』
という事なのです。
美奈子は、東都美術館から『雷王の指輪』が盗まれたというニュースを耳にした時から、こうなる事は予想していました。
あるいは昨夜、藤間家に電話した時にその覚悟を決めていたのです。
…でも…
「でもね。裕さん、美幸ちゃん。……これは酷い仕打ちだわ」
美奈子の心の振るえは、“闇”の振るえとして、店内中の蛍光灯を弱々しく
チカチカと点滅させました。
突然に照明が不安定になった動揺とどよめきが店内の人々に広がる中、裕と美幸さんは静かに美奈子の言葉を待ちました。
「そう、酷い仕打ちだわ。いえ、私が闘わなくてはならないのは分かってる。
竜使いの誰かがやらなきゃならない。
けれど、私が自分から言い出すまで『正義だ』『篤実だ』って、くどくどと…。
……まるで秘密警察の誘導尋問じゃない…!」
美奈子は裕を正視して言いました。
この耳飾りが出てくるということはつまり……
『闘え』
という事なのです。
美奈子は、東都美術館から『雷王の指輪』が盗まれたというニュースを耳にした時から、こうなる事は予想していました。
あるいは昨夜、藤間家に電話した時にその覚悟を決めていたのです。
…でも…
「でもね。裕さん、美幸ちゃん。……これは酷い仕打ちだわ」
美奈子の心の振るえは、“闇”の振るえとして、店内中の蛍光灯を弱々しく
チカチカと点滅させました。
突然に照明が不安定になった動揺とどよめきが店内の人々に広がる中、裕と美幸さんは静かに美奈子の言葉を待ちました。
「そう、酷い仕打ちだわ。いえ、私が闘わなくてはならないのは分かってる。
竜使いの誰かがやらなきゃならない。
けれど、私が自分から言い出すまで『正義だ』『篤実だ』って、くどくどと…。
……まるで秘密警察の誘導尋問じゃない…!」


