「…察しの通り、これだよ」
裕はキャンデーでも出すように“それ”をポケットから取り出しました。
凡庸なるファミリーレストランの
凡庸なるテーブルの上に置かれたには、
どうしても似つかわしくない重厚な音を響かせて……
それ”は…いえ、そのイヤリングは、再び美奈子と邂逅したのでした。
ゴトッ、という小さいながらもまるで、6キロの鉄アレイを、大きな檜の一枚輪切りでつくられた円卓に置いたような音でした。
「…これが…ッ?」
と、美幸さんは息を呑みました。
――そうです。
――これが………
――『冥王の耳飾り』です――
美幸さんは自分の悪夢と並々ならぬ関係を持つその小物に、言葉を詰まらせました。
…しかし
美奈子はさして驚きませんでした。
耳飾りと美奈子はお互いに黙して、自分の中に投げ込まれた再会の小石による
複雑な心境の波紋に耳を澄ましているのです。
裕はキャンデーでも出すように“それ”をポケットから取り出しました。
凡庸なるファミリーレストランの
凡庸なるテーブルの上に置かれたには、
どうしても似つかわしくない重厚な音を響かせて……
それ”は…いえ、そのイヤリングは、再び美奈子と邂逅したのでした。
ゴトッ、という小さいながらもまるで、6キロの鉄アレイを、大きな檜の一枚輪切りでつくられた円卓に置いたような音でした。
「…これが…ッ?」
と、美幸さんは息を呑みました。
――そうです。
――これが………
――『冥王の耳飾り』です――
美幸さんは自分の悪夢と並々ならぬ関係を持つその小物に、言葉を詰まらせました。
…しかし
美奈子はさして驚きませんでした。
耳飾りと美奈子はお互いに黙して、自分の中に投げ込まれた再会の小石による
複雑な心境の波紋に耳を澄ましているのです。


