美少女戦士 イグニス・ドラグーン・ユイ!

 「それで…」
 と、美幸さんは小さく頷きました。


 「ああ、“そういう事”さ」
 美奈子を置き去りに、美幸さんと裕は会話を続けました。
 「別に美奈子が“思いやり”に欠けるというのではないよ」


 「“思いやり”?」
 美奈子は怪訝に尋ねます。
 読者の皆さんと同じく、二人の会話の本筋が全く理解できなかったのです。


 「ええ、そうです」
 美幸さんは美奈子を覗き込みました。
 「それは…他人を助けようとする篤実」


 (篤実ぅ…?やれやれ、まさか中学生から道徳を説かれるとは思わかったわ)
 (最近の中学生は随分大人びているのね…)


 「…ねぇ二人とも。もう少し具体的な話をして貰いたいのだけれど…」
 美奈子はため息混じりに言いました。
 
 「“思いやり”でも、“篤実”でも、“ジャスティス”でも……。
 ともかく動機なんてのはこの際、何でもいいわよ。
 結局のところ、私に何をして貰いたいのか。
 回りくどく言わずに『コレコレをして欲しい』とはっきり言って欲しいの」

 美奈子は一息に言い放ちました。

 普段こそ物腰柔らかな彼女が、こうして立腹を露呈するとは、余程の事といえます。