美少女戦士 イグニス・ドラグーン・ユイ!

 「悪気は無いのかもしれないけどねぇ…!」
 美奈子はまるで裕の襟首を掴むように言います。
 「アナタは人の心を揺さぶるだけなの! 分かる? 裕さんは鯨みたいなものよ」


 「…鯨?」


 「刑事にするには穏やかでのんびりしてるけど、アナタが少しでも“尾ひれ”を動かせば“周囲”には大きな波紋ができるのよ!  分かってる!?」


 しかしそれに答えたのは美幸さんでした。
 「…分かりました」
 と、大人のやりとりを黙して聞いていた美幸さんが口を開きました。


 「え…?」


 「だから…『冥王の后』さんは、ユイのパパさんの事が“まだ”好きなんですね?」


 「な? ちょっ…!」


 「いいんじゃないですか、ユイのパパさんも? 不倫でもなんでもすれば!」


 「あ、あのねぇ…美幸ちゃん」
 あからさまに機嫌を損ねている美幸さんを宥めるように、裕は苦笑を作りました。

 
 「不埒な大人の恋愛なんて知りません。 知りたくもありません」

 「……『冥王の后』さんという人が私には分からなくなってしまいました」

 「ですけどね…! アナタがどんなにイヤラシイ女性だとしても…私達は今、アナタに頼るしかないんです…!」