「あ、どうも…」
美奈子は美幸さんの手を握りながら、一つの疑問を抱きました。
つまり彼女の所作や手の、なんと言いましょうか、包容力のようなものが中学生には思えなかったのです
「あのぉ…裕さん?」
―ユイちゃんって、高校生でしたっけ? 同級生というこの娘は…
と、美奈子は言おうとします。
ですがそれは、美幸さんの穏やかな、しかし峻厳な声に遮られるのでした。
「いえ、いけません…」
美幸さんは和やかな笑みを消して言うのでした。
「時間が無いのです…!」
(時間が無い…!?)
美奈子は疑問します。
「…あ、いえ。自分ばかり話しててあれですけど、伝えなければならない事があるんです、私には…!」
「いや。まずは、移動しよう。美奈子も夕飯まだだろ?」
という裕の仲裁は効力を持ちませんでした。
「伝えたい事?」
「そう…。『冥王の后』としての深津美奈子という女性に。同じ女性として」
(…なんか最近は振り回されっぱなしだな)
美奈子は曖昧に苦笑します。
(……やれやれ…いつの時代から中学一年生が自分を女性と呼ぶようになったのかしら?)
美奈子は美幸さんの手を握りながら、一つの疑問を抱きました。
つまり彼女の所作や手の、なんと言いましょうか、包容力のようなものが中学生には思えなかったのです
「あのぉ…裕さん?」
―ユイちゃんって、高校生でしたっけ? 同級生というこの娘は…
と、美奈子は言おうとします。
ですがそれは、美幸さんの穏やかな、しかし峻厳な声に遮られるのでした。
「いえ、いけません…」
美幸さんは和やかな笑みを消して言うのでした。
「時間が無いのです…!」
(時間が無い…!?)
美奈子は疑問します。
「…あ、いえ。自分ばかり話しててあれですけど、伝えなければならない事があるんです、私には…!」
「いや。まずは、移動しよう。美奈子も夕飯まだだろ?」
という裕の仲裁は効力を持ちませんでした。
「伝えたい事?」
「そう…。『冥王の后』としての深津美奈子という女性に。同じ女性として」
(…なんか最近は振り回されっぱなしだな)
美奈子は曖昧に苦笑します。
(……やれやれ…いつの時代から中学一年生が自分を女性と呼ぶようになったのかしら?)


