美少女戦士 イグニス・ドラグーン・ユイ!

 「え…?」
 美奈子は一瞬戸惑います。
 「…あ、あぁ歌手の?」


 「そうです」
 美幸さんの精一杯の気丈は、誰にも気付かれずに続きます。
 「漢字は同じでも、私は『ナカシマ』といいます」


 美幸さんは13歳とは思えぬ器量でニコリと笑うと、美奈子に握手の手を差し出しました。


 彼女の気丈というのはつまり、若干13歳にして、突如顕れた世界の解れ(ほつれ)と向き合う勇気にあります。

 というのも彼女は、つい3、4時間前に世界に存在する人ではない知性を知り、その知性の言葉を聞き、その知性が望むままに日常と虚空の狭間に住む(と、少女が想定する)『冥王の后』に微笑みかけたわけです。


 それを「気丈に努める」と言わず、なんと言うのでしょう。