美少女戦士 イグニス・ドラグーン・ユイ!

――『冥王の后』!
 
 国連内に組織された「EPD能力管理局」ですらその呼び名を知らない筈です。

 何故ならそれは…
 竜と交流を持てる者だけが聞く事を許された、竜が主達に親しみを込めて呼ぶニックネームだったからです。

 「だ、誰なの!?」
 まだ未練を覚える男の奥方ではなかったのは幸いでしたが、その言葉もまた美奈子にとって衝撃だったのです。


 「心配いらない」
 裕は立ち上がり微笑んで美奈子に歩み寄りました。
 「この娘はユイの友人だ。ユイが“再発”したとき傍に居てさ。また彼女自身にも能力の片鱗があって、どうやら、たまたま『炎竜』の言葉を聞いてしまったというだけの事だよ」


 「そうです。中島美幸と言います」
 と、その影は言いました。

 
 影の正体とはそう、我々の知る少女『美幸さん』、その人だったのです。


 困惑、警戒する美奈子を安心させようとしてか、美幸さんは笑顔を作って続けました。


 「漢字は同じですが、『ナカジマミユキ』ではありません。
 知ってますか? 中島みゆき?」