不機嫌な果実



「いえ、二度目です。
前回は、友達の結婚式の二次会で利用しました。女の人は、こんな雰囲気の店が好きなんじゃないかと思って。
渡辺さんにも気に入ってもらえたら嬉しいんですけど」


「気に入るも何も、今日は打ち合わせでしょ?
別に、話ができるなら私はどこでもよかったのよ」


「まぁ、そう言わずに。
ここはイタリアで修業を積んだシェフが、本場仕込みの料理を提供してくれる店なんです。味付けも本場と差して変わらない。

北イタリアのミラノから南イタリアのナポリまで、何でも得意としているんです。ミラノ風カツレツからシーフードリゾット、ナポリ風ピザ、日本人の口に合ってどれも美味いです!

だから、メニューに載っているもの、何を頼んでもハズレはないですよ!」


小菅は、少年のような無邪気な笑顔を麻紀に向けた。

一瞬、ほんの一瞬。


小菅の表情に、麻紀の心臓がトクン、と音を立てた。