不機嫌な果実



二人だけの心地よい時間を過ごしていたときだった。 


「いらっしゃいませ」



入り口には、細身のスーツを着た男性客が一人。 



迷うことなく、その客はカウンター席に近付くと、その店には似つかわしくない声を上げた。 



「祐輔さんじゃないですか!どうしたんですか、今日は。……あれ、お一人じゃないんですか?」



……えっ、まさか知り合い?


不意に顔を上げた麻紀の顔が、みるみるうちに青ざめていった。