肩にかかるライトブラウンの髪の毛を指で弄びながらもう一度溜め息をついたときだった。
バーテンダーが麻紀へと、水色のカクテルを差し出した。
「あれ?私、注文していないけど」
「あちらのお客様からです」
バーテンダーが促すほうを見て、麻紀は思わず「あっ!」と叫びそうになった。
先日、友人の香奈(かな)と一緒にこの店に来たときにいた男性だ。
男はカウンター近くのテーブル席に腰掛け、微笑みを浮かべて麻紀の方を見ていた。
なんとなく気に掛かっていた男性との思いがけぬ再会に、麻紀の心臓は高鳴った。
身体が火照り、頬がほんのりと上気する。
嬉しいはずなのに、麻紀はなぜか、男からふと目を逸らした。


