不機嫌な果実



カタカタカタカタ……


パソコンのキーボードがリズミカルに音を奏でる。 


キーボードを打ち込む速さでは、このフロアで麻紀に適うものはいない。 


細長い指が、キーボードの上を面白いように動き回る。


新人に任せたら何時間もかかるであろう打ち込みも、渡辺さんなら半時間で済んでしまう。


おまけに、ミスがないときている。


さすが、仕事のできる渡辺さんだよな。


離れた席に座る小菅は、感心しながら麻紀の姿を捕えていた。


あの完璧な渡辺さんを、どうにか落としたい……


そんなことを考えていた。