くるりと後ろを振り返ると、缶コーヒーを手にしたグループ会社から出向中の小菅駿(こすげしゅん)が立っていた。 「また、あんた!何なの、いったい!それに『また』幸せ逃げちゃいますよ、ってどういうこと?」 「そのまんまですよ」 「あんたねぇ、いい加減にしな……」 「渡辺さん、コーヒーでいいですか?」 「キャッ!」 ひょいっと手渡された冷たい缶コーヒーを、両手でキャッチした。