不機嫌な果実



だんだんと麻紀の顔に近付いてくる。


チュッ、と頬っぺたに温かいものが触れた。


そして、麻紀の体にしがみつくと子犬は耳元で囁いた。


「犬は飼い主に忠実なんです。放し飼いだけはやめてくださいね」


クスッと笑うと、


「こういうことですよ」


そう言うなり、犬と飼い主の主従関係はあっけなく崩壊し、麻紀はソファで小菅に組み敷かれた。


「あっ、ちょっと。……あ、ダメだって」


「可愛いな。僕の飼い主さん!今夜は寝かせませんよ」


「ちょっと……」