不機嫌な果実



「僕は本気ですから。
年下で頼りないかもしれないけど、渡辺さんのこと、ずっと守っていきますから」


再びギュッと抱き締められた麻紀は、そっと小菅の背中に手を回した。


「……ありがとう」


小菅の温かさに触れ、麻紀の目からポツンと涙が零れたことは内緒。


「さてと、ここから先は渡辺さんのゴーサインが出ないと進めません。……どうしますか?このままやめときますか?」


すっと腕を緩めた小菅は、意地悪な笑みを浮かべながら麻紀の顔を覗き込んだ。


年下のくせに……。


やっぱり生意気だ。


私の気持ちを知っているくせに。


肝心なところで、私に委ねるなんて!


躊躇う素振りを見せる麻紀の気持ちに寄り添うように、小菅は言葉を継いだ。


「あはっ。ちょっと意地悪だったかな。
さっきはあんなこと言いましたけど、僕は焦っていませんから。渡辺さんの気持ちが固まったらその時で……」