不機嫌な果実



あれは麻紀が高校1年の冬の午後のことだった。


高校に入学してからの麻紀は、愛犬のマリーよりも友達や彼氏との付き合いを大切にするようになっていた。


マリーの散歩はお母さん任せ。


『たまにはマリーを可愛がってあげてね。マリーも寂しがってるわよ』


母親にそう言われ、久しぶりに散歩に連れ出そうと犬舎からマリー出したときだった。


よほど嬉しかったのだろう。


マリーはキャンキャン吠えながら鎖を付けたまま、開いていた門を飛び出していった。


『そんなに慌てなくてもいいのにマリーったら。
マリーちょっと待って!!』


慌てて追い掛けた麻紀の目に映ったのは――。