慌てて振り返ろうとすると、そのまま後ろから抱きすくめられた。


さっきはアクシデントとはいえ、悲鳴を上げて自分から小菅の胸に飛び込んだ。

けれど、今は違う。


完全に、小菅の胸の中だ。


浴衣の胸元が大きく開いた小菅の胸に頬を預けた麻紀は、なぜかドキドキが止まらなかった。


自分でも驚くほどに。


でも、それ以上に心が震えた。


「僕、本気ですから。渡辺さんのこと」


そう話す小菅の布ごしからトクン、トクンと小刻みに心臓の音が聞こえてくる。


リズムよく鳴り響く鼓動に、麻紀の心臓は壊れそうなほどにスピードが増していった。