「さて、と。
邪魔者が消えたところで話を元に戻しましょうか。
で、渡辺さんはまだ相澤さんに未練でも?」
「まさか、そんなことないわ」
さっきまで濡れていた髪の毛がすっかり乾き、いつものように前髪を垂らした小菅。
そこから一瞬だけ垣間見れた小菅の憂いを含んだ表情に、胸をギュッと鷲掴みにされたような痛みが麻紀に走った。
トクン、トクンと、煩くなる心臓の鼓動。
小菅を真っ直ぐに見つめ返すことができなくて、麻紀は咄嗟に俯いた。
ジャリっと、玉石が擦れる音がした。
「え、ちょ、ちょっと!」
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