不機嫌な果実



「えっ、自分の気持ちに嘘をつく?」


コクンと小菅は頷いた。


そして、静かに語りはじめた。


「黙って見ているだけなんて、もう限界なんです。
それでも、渡辺さんが幸せならそれでもいいかと思っていたんですが……。相澤さんのこともあるし、やっぱり渡辺さんには幸せになってもらいたいし、僕が渡辺さんを幸せにしたいんです」


小菅の気迫に圧された麻紀は呆然とし、開いた口が塞がらないまま小菅を見つめた。


「渡辺さん」


小菅がさっきよりも近付いたときだった。


「おーい、そこで何やってるんだ!二次会が始まってるぞ!」


暗闇に大きな影が動いた。

まさか、熊!?


「ひぃぃ」


麻紀は小さな悲鳴をあげた。