「あっ、いたいた。おーい、ここだよ!」
おばあさんの手を振る方向に目を向けると、改札口の手前で学生風の男が立っていた。
一瞬、キョトンとした表情でおばあさんを眺めていたが、すぐさま歩み寄ってきた。
「どうしたの?」
「あぁ。ちょっと迷子になってね。そしたら、人のいいこちらのアベックがここまで連れて来てくれたのさ」
「「アベック!?」」
渡辺と小菅は驚きで、声が裏返った。
「あらまぁ。今はアベックじゃないのかい?それなら何て言うんだい?裕太、知ってるかい?」
「カップルじゃねーの?」
「ほぉ、そうかいそうかい。カップルねぇ。コーヒーカップみたいだね。横文字は難しいね。あたしはやっぱり日本語が一番だよ。
生まれてこの方、日本しか知らないからね。
あぁ、お兄さん荷物ありがとうね」


