「どうかされたんですか?」 「――は?」 「いえ、慌てているようなので」 「あ、えぇ。こちらのおばあちゃんが駅で迷子になられたらしくて」 「そうなんだよ。孫に会いに田舎から出てきたんだけど、こうも広くちゃ、何がなんだかわからなくてね。 右往左往していたらこちらの親切なお嬢さんが手を引いて下さったんだよ」 白髪頭のおばあさんが、顔をしわくちゃにしながら目を細め、渡辺に同意を求めるような仕草をした。 「そうですか。……で、お孫さんとはどちらで会う約束をされたのですか?」