不機嫌な果実



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研修3日目。


小菅は得意先とのアポイントメントの関係で研修時間に大幅に遅れ、慌てて本社に到着した。


本社三階の会議室で行われる研修会に急ぐため、エレベーター待ちをしていたのだが、なかなか下りてこないエレベーターに痺れを切らし、階段を駆け上がったのだった。


そのとき、だった。


バサバサ…と、勢い良く書類の山が頭から降ってきた。


「なんだよ、これ!」


思わず声を上げた先には、書類を一枚一枚拾い上げる黒いパンツスーツ姿の女性社員がいた。


「いやーん、落ちないで!」


飛び跳ねながら書類に向かって、必死に喚く女に笑いが込み上げてきた。


研修が気になったものの、遅刻には変わりない。


今さら急いだって、同じだから。


小菅も、その彼女に続いて拾い始めたのだ。


「すみません。本当にありがとうございます」


低姿勢で謝るその女性の声に聞き覚えがあった。