新入社員の研修会で、麻紀は指導係を命ぜられていた。
この若さで指導係という肩書きに窮屈さを感じた麻紀は、断れるものなら即座に断りたかった。
まだ、自分には指導係は早すぎると思ったから。
だが、社長きっての願いで渋々応じるはめになったのだ。
本社及び支社に配属ならば、ある程度は顔と名前が一致していた。
けれど、グループ会社までとなると、さすがの麻紀もそこまでは及ばなかった。
あそこに小菅がいたとは……。
「渡辺さんは厳しい上司で有名でしたからね」
「やめてよ、その言い方!」
厳しく振る舞わなきゃならなかったのよ、あのときは。
新入社員と年齢的に近いから、威厳を保つのに必死だったんだから。
「顔は綺麗だし、頭はキレる。この人、何者なんだと思いましたよ。絶対、このタイプは性格が最悪だと思ってましたからね。間違いなく、彼氏なんているわけないと確信していました」
「ちょっと、それって褒めてるの?貶してるようにしか聞こえないわ」
「まあまあ。よく聞いて下さいよ。そんな高嶺の花のような人が、実は庶民的だったんだとわかった日があるんですよ」
「どういうこと?」


