不機嫌な果実



「渡辺さん」


「な、なに?」


目を合わさないよう、チラッと小菅を見た。


「そんなに怯えなくてもいいじゃないですか!僕、そんなに怖いですか?」


サラッと前髪を掻き上げた小菅の髪の毛は、すっかり乾いていた。


指通りのよさそうなサラサラのヘア。


こうしてみると、実年齢よりもうんと若く見える。


「いや、そんなことないけど」


そう。怖くは、ない。


ただ、意識してしまったから恥ずかしくて目が合わせられないだけ。


麻紀は俯いたままだった。


この場を取り繕うように何か言葉を発さないと、と思うけれど、上手い言葉が見つからない。