不機嫌な果実



「僕は宴会の席よりも、こうして渡辺さんと二人きりの方がいいんですけど、駄目ですか?」


「……ほえっ?」


なんとも間抜けな声が出た。

慌てた麻紀は、しどろもどろだ。


「いや、あのー、今のは……」


「あははは。さすが、渡辺さん!こんなところでも楽しませてくれるなんて!」


ほんとに可愛いですね、と言いながら小菅は麻紀の頭を優しく撫でた。



……きゅん。


聞こえた。


麻紀の身体の奥の方から。


きゅん、と胸が締め付けられるようなトキメキの音が。


意識すると、さらに心臓が慌ただしく動き出した。

どくん、どくん……。


やだ、どうしよう。


止まらない、胸の鼓動が。