不機嫌な果実



あの日は、本当に嬉しかった。 


入社五年目での快挙に、同期は自分のことのように祝福してくれた。


当然のように、その日は日付が変わるまで飲み明かした。 


もちろん、そこには相澤の姿もあった。  


普段は、あまり酒に酔わない麻紀だったが、気分が高揚したのだろう。


店を出る頃には、ほろ酔い気分で少しよろめいた。



「麻紀、ちょっと飲み過ぎじゃないか?」


「えー、全然、大丈夫だよ〜!いつもとおんなじ。ちっとも酔ってないし!」


「自分で酔ってないって言い張る奴こそ、大概酔っ払ってんだよ!あっ、危ない!」


千鳥足で呂律(ろれつ)の回らない麻紀を、相澤は優しく介抱した。