不機嫌な果実



――やったぁ!! 


会議室を出た途端、企画書を胸に抱えた麻紀は、小さくガッツポーズをした。 


自分がこれまでやってきたことが決して無駄ではなかったこと。 


そして、自分に仕事を託してくれた上司の気持ちが素直に嬉しかった。 


いち早く、この結果を知らせたかった麻紀は、小走りで営業第二課に向かった。


お目当ての彼の姿を見つけると、目で訴えた。


彼もそれに気付き、暗黙の了解で互いにコピー機に擦り寄った。 


「決まったよ」と小声で伝えると、「よかったな」と優しい笑みを返された。 


幸せだった、何もかもが。


恋愛も、仕事も。


それらすべてが、麻紀の思うがままに世界が回っている――そう思えてならなかった。