8月最終の土曜日。 麻紀たちは社員旅行で伊豆・修善寺に来ていた。 「お帰りなさいませ」 「あっ、どうも。お世話になります」 数寄屋造りのホテルの玄関に到着すると、女将さんを始め、大勢の中居さんが挨拶で出迎えてくれた。 「ご自宅に戻られた気持ちで、ごゆっくりお寛ぎくださいませ」 若女将は柔和な微笑みをもたらした。 麻紀とあまり変わらない年頃だろう。 身体の線は細かったが、目鼻立ちのはっきりとした顔立ちに、華やかな着物がよく似合っていた。 その風格たるや、大したものだった。