その青年は身なりからして、貴族の者だと分かる。 整った顔立ちで、表情は柔らかく、優しそうな印象を持っていた。 この青年の名は藤原隆雅(ふじわらのたかまさ)。 名前の通り藤原一族の者だ。 隆雅は今年で十九になる。 彼は、漢詩文、歌詠み、乗馬、弓矢など全てにおいて優秀な青年だった。 特に笛は得意としている。 彼の笛の音を聞いた女たちは虜になるとか。 しかも彼の父親は公卿である内大臣。 内大臣は左大臣・右大臣を助けて政務、儀式を執行する位。 左右大臣より位は下だが、帝の補佐をする高い位だ。